あへんとは、麻薬の一種であり、未熟なケシの実の乳液を乾燥させて

 作った赤褐色の粉末をいい、「阿片」 と当てることもあります。



 そのあへん煙の吸収などによる国民の健康に対する危険を

 防止しようとする罪をいいます。

 国民の健康保持と国民生活の頽廃たいはい防止を保護法益とします。

 あへん煙とは、取締上の見地から、生あへん (あへん煙土) をも含むという

 説もありますが、通説・判例は直ちに吸うことのできる調整あへん、

 すなわちあへん煙こうを指すと理解しています。

 生あへんは、麻薬取締法・あへん法の適用を受けます。

 ここで処罰されるのは以下のような行為です。

 

 ①あへん煙の輸入・製造・販売・販売目的をもってする所持。

  あへん煙を吸飲する器具についての上記の行為。

  税関官吏がそれらを輸入しまたは輸入を許可する行為。

 ②あへん煙の吸飲。

  あへん煙の吸飲に適当な場所を提供して利便を図る行為。

  あへん煙またはあへん煙吸飲の器具の所持。

 ③上記の行為の未遂罪。



  ここで輸入とは、国外から我が国の国内に持ち込むことをいいますが、

 いつ既遂になるかについては争いがあります。

 判例・通説は、陸上の場合は、国境線を越えたとき、海上の場合は

 陸揚げしたときとしますが、海上の場合は領海に入ったとき

 とする反対説もあります。