公然わいせつ罪、わいせつ文書頒布罪および
強制わいせつ罪の総称です。
淫行勧誘罪をも含むと解する学者も存します。
前二者が、社会の性秩序を保護法益としていることについては争いは
ありませんが、強制わいせつ罪については、むしろ個人の性的
自由を保護することに重点があるのだとする説があります。
最近の立法例は、このように解する傾向にあります。
ⅰ. 公然わいせつ罪
不特定または多数人の面前で、公然とわいせつな行為をする罪です。
わいせつ (猥褻) とは、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、
しかも普通人の正常な性的羞恥 心を害し、善良な性的道徳
観念に反するものをいうとするのが判例となっています。
わいせつ行為には動作以外に言語も含まれるかについては
争いがありますが、含まれないとするのが通説です。
ⅱ. わいせつ文書等頒布罪
わいせつの文書・
図画 その他のものを頒布・販売し、または公然と
これを陳列する罪、および、販売の目的でこれを所持する罪です。
頒布 は、不特定または多数の人に対する無償の交付であり、
販売は有償の譲渡です。
ただ、一回だけの交付・譲渡も、反復の意思をもって行なえば、
頒布・販売となります。
公然陳列することは、不特定または多数の人の観覧することの
できる状態に置くことで、判例は、映画の映写も
陳列にあたるとしています。
ⅲ. 強制わいせつ罪
13歳以上の男女に対し暴行または脅迫をもってわいせつな行為をする罪です。
このほか暴行・脅迫の有無を問わず13歳未満の男女に対しわいせつの
行為をする罪、人の心神喪失若しくは抵抗できない状態に乗じ、
または人の心理を喪失させ若しくは人を抵抗できない状態に
してわいせつな行為をする罪は、準強制わいせつ罪と称し、
強制わいせつと同じに処罰されます。
いずれも未遂を罰し、原則として親告罪になります。
但し、これらの罪を二人以上で現場において共同して犯したときは
親告罪とはなりません。
これらの罪を犯し、よって人を死傷させると刑が加重されます。
強制わいせつ罪のわいせつ行為には
この暴行は相手方の反抗を著しく困難にする程度のものである
ことを要するかについて争いがあります。
通説は積極的に解しています。
強制わいせつ行為を公然として行なうと公然わいせつ罪との
観念的競合になります (判例)。
コメント (0)
コメントを書く