通貨偽造罪・文書偽造罪・有価証券偽造罪の行為の一種です。



 

通貨の変造とは、本物の貨幣に加工して通貨の外観を持つ物を作ることです。

 名価の変造と実価の変造とがあります。

 紙幣の表面に現れている文字・模様に加工して通貨の外観を持つものを作り出したり

 するのが前者であり、硬貨の中身をくり抜くなどするのが後者に当たります。

 金貨をつぶして、粗悪な材料を加えて鋳直すというように、本物の貨幣を材料と

 しても、まったく新しいものを作り出すのは、偽造であって、変造ではありません。

 銅貨に、メッキして、金貨と見せかけるのは偽造か変造かが争われていますが、

 変造とするのが有力となっています。

 
 

②広く文書の変造というと、公文書偽造罪で使われている、権限なしに、真正な

 他人名義の文書に変更を加える (有形変造) 場合と、虚偽公文書作成罪にいう、

 作成権限を持っている者が毀損の公文書に変更をくわえて偽りの内容の

 ものとする (無形変造) 場合とがありますが、普通、文書の変造と

 いえば前者を指します。

 他人名義の文書であれば、真実の内容に変えることでも

 構いません。

 

  しかし、既存文書の本質的部分に変更をくわえて別の新しい文書を

 作り出すのは偽造に当たります。

 例えば、旅券の氏名・年齢・渡航地の変更、自動車運転免許証の

 写真の貼り換え・生年月日を改竄かいざんするなどの場合です。

   

  文書変造と区別すべきものに、文書の毀棄があります。

 前者は文書の証明力の変更であるのに対し、後者は効用の一部または

 全部の滅却です。

 
 

有価証券の変造とは、文書の変造と同じように、権限なしに、真正な

 他人名義の有価証券に変更を加えることをいいますが、これには

 反対説もあり、それによれば、自分の振り出した手形を

 他人に裏書させた後、その振出日付を勝手に変える

 といったように、自分名義の有価証券についても

 変造が成り立つといいます。

   

  また、変造は手形の振出しのような基本的な証券行為についてのみ

 成り立つかについても争いがありますが、これに限らないという

 説も有力となっています。