通貨偽造罪、文書偽造罪、有価証券偽造罪および

 印章偽造罪の行為の一種です。


 

 ①通貨偽造罪における行使とは、偽造・変造の通貨を真正な通貨のように装って、

 真正な通貨の用法に従い流通におくことです。

 対価を得たかどうかとか、その使い道が何であるかは問われません。

 それで、本物の通貨として他人に贈与するとか、賭博の賭け金に

 使うのも行使に当たります。

 公衆電話機・自動販売機に入れるのも行使に当たるとしています (通説)。

 しかし、現金を持っているように見せかけるため、いわゆる 「見せ金

 として使うのは、流通においたことにならないので、

 行使には当たりません。

   

  偽の通貨の行使については、それを使って財物を詐取した場合に、

 偽貨行使罪のほかに詐欺罪が成り立つかについて争われていますが、

 判例は詐欺罪を認めていません。


 

 ②文書偽造罪の行使とは、偽造・変造または偽りの記載をした文書を、

 その用法に従い、真正または内容の真実な文書として

 使用することをいいます。

 行使の方法は、他人に呈示または引き渡すのが普通ですが、公正証書の

 原本の類は、不実記載の原本を備え付けることが行使となります (判例)。

 備え付けで人の閲覧し得る状態に置かれたといえるからです。


 

 ③有価証券偽造罪の行使とは、文書の場合と同じく、偽造有価証券を

 真正な、または内容の真実な証券として使うことをいい、

 通貨のように流通におく必要はありません。


 

 ④印章偽造罪では、行使という言葉を使わず使用という語を使っていますが、

 偽印の使用とは虚偽の印影を表した文書その他の物を行使することを

 意味し、印影を表する行為を意味するのではありません。