行使の目的で、
①
御璽 ・国璽 または御名
②公務所または公務員の印章若しくは署名、公務員の記号
③他人の印章、若しくは署名
を偽造する罪をいいます。
それを使用することも処罰されます。
印章・署名の真正に対する公共の信用が
保護法益となっています。
印章は、印影 (押し跡) だけを意味するのか、印
作った物体) をも含むのかについては争いがあります。
判例は後者の説を採っています。
ただ、判例も、印顆を押しただけでは印章の使用とはいえず、印影の表された
文書その他の物を使ったときに、印章の使用になるとしています。
このことと、印章の偽造と署名の偽造とを統一して理解しようと
することから、前者の説も有力に主張されています。
署名とは、主体を表示する文字をいいます。
屋号や雅号を記しても署名に当たります。
署名は自署に限られるのか、記名をも含むのかについて争いがあります。
判例は後者の説を採っていますが、記名は押印があってはじめて
自署と同じ意味を認めるのが取引界の一般の観念だという
理由で、自署に限るという反対説も根強いです。
印章と記号の区別についても争いがあります。
一つの考えは、文書に押すのが印章、他の物に押すのが記号だとします。
他の考えは、表面に名を表しているのが印章 (ex. 文部科学省之印)、
名を表していないものが記号 (ex. 検印 )だとします。
判例は分かれていますが、多数派は後者となっています。
私記号の偽造を処罰する独立の限定はありません。
そこで、判例と一部の学説は、私記号の偽造は
私印偽造になるといいます。
しかし、通説は私記号の偽造は不可罰だとしています。
印章偽造は文書・有価証券偽造の手段として行なわれることが
多くなっています。
文書などの偽造が既遂に達すれば、印章偽造はこれらの偽造罪に
吸収されて独立に処罰されません。
しかし、それらの偽造が未遂に終わったときは、
印章偽造罪が成り立ちます。
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