所持人がだれであっても、常に支払いを断る理由として

主張できる事由のことです。


 手形抗弁は、本来は、その特定の所持人に対してだけ主張できるもので、

手形を裏書(または交付譲渡)で譲り受けた第三者には

主張できない性格を持っています。


 しかし、抗弁事由の性質によってが、所持人がだれであっても

主張できるもの(物的抗弁)もあります。

物的抗弁になるとされているものには、

 ①手形証券の形式的効力、ないし、手形上の記載に関すること「要件が欠けている」、

「白地手形で白地が未補充である」、「裏書が不連続で所持人資格がない」、

「証券がなければ払えない」、「除権判決で証券が失効した」、

「一部支払い、一部相殺、一部免除などで手形債務の一部が

消滅したことが書いてある」、「支払期日がまだ来ない」、

「支払呈示期間中に呈示しなかった」など)。

 ②手形行為が実質的に無効であるか、取り消し得ること(「偽造の署名だ」、

「制限行為能力を理由に取り消した」、「手形だと知らなかった」、

「無権代理だ」など)。

 ③手形債務が公的制度によって消滅したか、あるいは手形上の記載が

変造されたこと(「手形債務が時効で消滅した」、「手形金額は供託した」、

「金額改ざん前に署名したから変造前の金額しか払わないなど」)。

 の三つの種類があります。


 そして、手形が第三者に譲渡または質入れされると債務者が所持人に

この物的抗弁しか主張できなくなることを

「抗弁の制限」といっています。

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