離婚
婚姻関係の解消は、当事者一方の死亡という事実による場合と当事者の意思に基づく場合
とに分かれています。後者による場合が、離婚です。離婚は協議離婚と裁判離婚とに
分かれます。協議離婚は夫と妻の合意によってされ、裁判離婚は当事者一夫の意思
に基づき裁判所に対する訴えをもってされます。離婚は配偶者に対する無条件の
保護義務を解消されるものであるので、その成否は何人の目にも鮮やかな厳格
主義によって担保されます。このことからして、協議離婚は市区町村役場
に対する離婚届出を必要とします。
裁判離婚は、裁判所の判決がその厳格性を担保します。裁判離婚が認容されるについては、
婚姻を継続し難い重大な事由がなければなりません。夫婦をして夫婦たらしめる究極の
ものとしての貞操義務に違反があったとき、すなわち配偶者に不貞な行為があった
ときおよび保護義務に違反があったとき(配偶者による悪意の遺棄と配偶者の
三年以上にわたる生死不明という客観的事由)を軸として、婚姻を継続し
難い重大な事由の有無が判断されます。
夫婦間における厳しいばかりの要保護性補完の強要も極限にまで達したときは解放されて、
社会自らの負うべき義務として転換されます。それが、精神病難婚原因です。すなわち、
配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないときは、裁判所の離婚判決を求め
ることができます。強度・不治という二重の客観的な条件と、離婚意思という主観
によって構成されているものなのです(配偶者の精神病が強度・不治であっても
あくまで監護を続けたいというならその意思もまた尊重され、裁判離婚の訴え
が強要されるわけではありません)。
協議離婚は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てすることもできます(調停離婚)。調停の
席上で婚姻両当事者間に離婚の合意が得られない場合にあっても、一切の事情を考慮
して夫婦間の粉争解決のため職権で離婚の裁判がされる場合もあります。離婚の
裁判を起こすには、まず家庭裁判所に離婚の調停を申し立てなければ
なりません。