原料を買う契約をしたのに原料を持ってこないので、製品ができず工場を休むとか、他
から高く仕入れるなどの損害を被ってしまった。道路端の家へトラックが飛び込んできて
家財を壊してしまった。こうした事件はよくあることだが、損害を与えた者は、
損害を受けた者に対して、損害を埋めてやらなければなりません。
これが損害賠償です。
しかし、損害賠償制度にはいろいろな問題点があります。
それは、①損害賠償が認められるのはどのような場合であろうか、②どのような損害が
賠償されるのか、③どのような方法で損害が賠償されるのか、の諸点です。
これを分けて説明します。
①最初に挙げたのは債務不履行と不法行為の例です。これらの場合には、加害者に故意・
過失などの責に帰すべき事由があるときのみ、損害が賠償されます。
この二つの場合が損害賠償の認められる最も重要な例だが、それだけではありません。
このほかにも、法律の規定によって損害賠償を認めている場合があります。
更に、当事者間の契約によって一定の事項について生じた損害を
賠償すると取り決める場合があります。
(損害担保契約-損害保険はこの一種です)。
②当事者間であらかじめ特別の取り決めをしておかない限り、賠償されるのは、原因と
なった事実と相当因果関係に立つ損害に限られます(因果関係)。
賠償されるのは通常は財産的損害だが、精神的損害も賠償されます。
③賠償の方法は、原状回復と金銭賠償が考えられるが、民法は後者を原則としています。