事業を営んでいない一般個人の破産を一般に消費者破産といいます。
昭和50年代の後半、サラ金などの無担保一般融資が膨張・増大
するにつれて、借金をして返済できなくなった個人の破産を
急激に増加させました。
消費者信用 (クレジット) の膨張は、一面では豊かな消費生活を
もたらしましたが、他面では各消費者 (債務者) が経済的
破綻を来たす消費者破産と称される事態を
増大させました。
近時では、バブル崩壊後の長期に渡る不況の中、企業の倒産や
リストラに伴い、住宅ローンなどを抱えたサラリーマンの
破産が急増しました。
経済的に破綻した債務者が、あるいはそのような債務者に対して、
とるべきいくつかの方法はあります。
一つ目は、当事者間の話し合いによる方法 (私的整理) です。
しかし、この方法は両当事者の協力を得なければ功を奏さず、
利息制限法などの法的規制が及ぶ保障もない点に
限界があります。
二つ目は、調停または再生の申立てがあります。
これらはいずれも裁判所で行なわれる手続でありますので、
法律による適正な解決が期待できますが、いずれも基本は
両当事者の話し合いによる解決でありますから、
当事者のうちいずれか一方が調停案または再生計画に
同意しなければ解決に至らないという限界はあります
(民事再生法に基づく個人再生手続については、
計画案の認可のための手続が簡素・
合理化されています)。
三つ目は、破産の申立てです。
破産手続によれば、法に則った厳正な手続で債権者が同意
しなくても解決が図られる上に、破産者は手続終了後は
残債務を免除されるという得点も得られるという
利点があります。
ただ、破産になるような消費者に目ぼしい財産がないのが普通で
ありますので、債務者の全財産を金に換えて債権者に公平に
配当するという破産手続にはそぐわない面があり(実際に
破産を宣告するが、目ぼしい財産がないので破産手続は
それ以上勧めないという措置 ━同時破産廃止いいます━
をとることが多いです)、免責だけを狙って破産を申し立てると
いうのは、破産本来の趣旨を逸脱しているのではないか
との疑問もあります。
また、債務者に不動産などの財産が売られてしまうので、
債務者の生活の基盤が奪われてしまうという
問題もあります。
平成13年4月1日に施行された改正民事再生法は、債務者に定期的な
収入 (給与など) が見込まれる場合に、その定期収入で少しずつ
返済させることによって、長期計画に基づく弁済による債権者へ
のある程度の満足と債務者の真の意味での再生 ━責任ある
人格の育成━ とを図る手続として、民事再生手続の
督促としての個人再生手続を新たに設けました。