社員(株主)の地位が
株式という細分化された均等な割合的単位の形をとり、
株主は出資価額の限度で会社に対してのみ責任を負い、
会社の債権者に対しては責任を負うことのない会社です。
この株式という制度と
有限責任の制度とが、他の会社に対する
株式会社の特徴であります(もっとも、持分会社である合同会社においても、
社員の責任は間接有限責任であります)。
株主が有限責任しか負わない結果として、会社に対する債権者は、
会社自身の財産によってしか、その債権の満足を得られず、
株主に対して履行を請求することはできません。
また会社自身を維持し発展させるためにも、会社の財産を確保する必要があります。
そこで、そのための基準となる一定の金額としての資本(金)があります。
この資本金の額は、原則として払込みまたは給付をされた財産の総額です。
かつて資本金は一定の額を下回ってはならないとされていました(最低資本金制度)が、
平成17年に成立した会社法ではこの制度が廃止されたので、
資本金が1円の会社も認められることになりなした
(ただし資本金の額に応じて剰余金の分配に関し規制する規定がおかれています)。
因みにフランス、ドイツの会社法制では資本制度が存在していますが、
アメリカの会社法制においては資本制度は廃止されています。
株式会社では社員の退社による投下資本の回収は、原則としてできません。
そこで、株式会社では株主の個性に重きを置かないこととあいまって、
株主の地位=株式の譲渡が自由に行われ、
これによって投下資本の回収が可能とされるというのが原則であります。
ただ、いかなる場合にも株式の譲渡が自由であると会社荒らし等のため、
かえって会社の安定性が害されることとなるので、現行会社法は、
株式を譲渡するには会社の承認を要するとの規定を定款に置いたり、
1部の種類株式についてのみ、譲渡するには会社の承認を要すると
定款に定めることにより、譲渡の制限をすることができるようにしました。
この場合にも投下資本の回収を確実なものにするため、株式の譲渡を
会社が承認しないときは、その株式を会社自身が買い取るか、
あるいは、代わって買い受ける者を指定して、
譲渡を可能とする手続き(先買権者<指定買取人>の指定手続き)を
とらなければなりません。
株主の地位の均等な割合的単位と有限責任とに伴う機構上の特色は、
株主の個性喪失と大規模な資本の形成とにあり、
このため株式会社は典型的な物的会社であると説明されてきました。
そして会社の経営については、株主は業務執行権や代表権を有せず、
専門的経営者としての取締役等の制度が置かれ、
株主は株主総会の構成員として、取締役の選任および
解任権を含む基本的な重要事項についてのみ議決権を持つとともに、
経営に対する監督的な諸権限が与えられています。
しかし近時、株式の分散、大衆投資化に伴い、
株主が会社の経営に関心を持たず、株主総会にも出席せず、
むしろ利益配当と株式取引の重きを置く傾向が強くなる、
いわゆる
所有と経営の分離の現象もみられます。