手形・小切手の支払いや償還に当たり証券の返還を求めることです。
手形債務者や支払人・支払担当者が手形小切手の支払いをするに当たっては、
所持人に対して、手形小切手に支払いを受領したことを記載して返還すように、
請求できることとされている。証券を受け戻さないで支払っても、
有効な手形の支払いにはならず、手形関係は
そのまま残ってしまいます。
債務者は、支払受領者が手残り手形で重ねて請求してきた場合には、
不当利得を理由として人的に抗弁できるが、ひとたび第三者が
善意で手形を転得した場合には、その請求を
拒むことはできません。
遡求義務者が償還をする場合にも、拒絶証書や、償還金額を受領したことを
記載した計算書とともに、手形小切手証券の返還を請求できます。
この場合も、証券を受け戻さずに償還しても有効な償還にはならないから、
償還を受けた所持人が手残り手形を第三者に裏書したり、より後者である
遡求義務者に重ねて遡求して償還を受けた場合には、
善意の転得者や後者である償還者の請求を
拒むことはできません。
また、証券を受け戻さない以上は、前者に対する再遡求権を取得できません。
もっとも、償還を受けた所持人が手残り手形で重ねて請求してきた場合は、
不当利得を理由に人的に抗弁できるのは当然です。
支払拒絶証書作成期間の経過後(実際上は、支払呈示期間の徒過後)に支払いを
したり、拒絶証書作成後(実際上は支払拒絶後)に償還する場合は、債務者は
手残り手形の転得者に対しても、常に支払済みを抗弁できるから、
証券を受け戻す必要はないとも考えられるが、期限後の転得で
あることは立証が難しいから、受戻しを
請求できると考えていいです。
手形債権を相殺したり、更改、免除、代物弁済などで手形関係を
消滅させるためにも、証券を受け戻さなければならず証券を
受け戻さなかった場合は、転得者に対しては
手形債務の消滅を抗弁できません。