ある種の権利は、いったんあるものの上にその権利が成立すると

それと内容上両立し得ない他の権利が同じものの上に成立するのを

排斥する性質を持ちます。

物権がその典型であり、例えば、ある物の上に既に一個の所有権が成立すると

それは他の所有権の成立を排斥し、また、ある土地の上に既に地上権が成立すると

それは他の地上権の成立を排斥します。このような性質を排斥性といいます。

債権にはこのような性質がないので

例えば、一人の演奏家を同じ時刻に異なった場所で演奏させることを

内容とする数個の債権は平等に成立することができます。

したがって排他性は物権と債権とを区別する主要な点とされています。

抵当権は、同一物の上に複数成立することができますが

その場合、成立の順序に従って一番抵当権、二番抵当権、三番・・・・・と

順位がつけられるので、内容上衝突しません。


このように、物権は排他性を持ち、取引の安全を害するおそれがあるので

それを第三者に主張するためには、第三者が物権の存在を認識できるような

何らかの外形が必要とされ、それを欠く権利は、物権といっても実際上

排他性を持たないものとなります。


なお、不動産の貸借権は理論的には債権ですが、現在では不動産利用の観点から

登記・占有などの外形を備えることによって、物権と同様

排他性を与えられている場合が少なくないです。

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