指図による引渡し(さしずによるひきわたし)


例えば、AさんがCさんに賃貸している自動車をBさんに譲渡し、Bさんは引き続き

それをCさんに賃貸するといった場合に、自動車をCさん→Aさん→Bさん→

Cさんと現実に引き渡すことは甚だ面倒です。


そこで、かような場合に現実の引渡しを一切省略し、Bさんの承諾の下に、

単にAさんからCさんに「以後Bさんのために占有しなさい」という

意思表示(指図)をすることで引渡しがあったものとする

略式の引渡方法が認められています。


これが指図による引渡しであり、民法ではこれを「代理人によって

占有する場合において本人が代理人に対して以後第三者の

ために占有すべき旨を命じ第三者がこれを承諾したときは、

第三者は占有権を取得する」と定めています。


ここで「代理人」とは上記のCさん、「本人」とは

Aさん、「第三者」とはBさんを指しています。