債務の引き受け

AとBに対する債務を引受人Cに移転する契約のことです。旧債務者Aは債務を免れ、

新債務者Cがこれに代わって完全に同一の債務の債務者になります。

わが民法は債務の引受について規定していないですが、学説・判例共に認めています。

債務の引受の方法として、第一に、A・B・Cの三人の契約でなし得ることには問題はあ

りません。第二にAとCとの契約でもなしえますが、この場合にはBの意思に反しない

ことを要すると解されています。第三にBC間の契約だけではなし得ないと解するの

が判例および多数の学者の見解です。しかし、近時、B・C間の契約によって成立

し、Aの承認があってはじめて(停止条件)効力を生ずるという学説も有力に

なっています。

債務の引受の結果、Bの債務は完全に同一性を維持してCに移転し、Bは債務を免れます。

問題は担保物権や保証債務の運命です。これらのものの地位は債務者の資力のいかんに

重大な関係を有することだから、保証人や、A・B・C以外の人で質物や抵当物件

を提供していた人(物上保証人)の債務は、移転しないで消滅すると解されて

います。

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