民事紛争の場合、だれでもその解決のために裁判所に訴えを起こし、
国が設営した民事訴訟制度を利用する機能を有します。
この機能を訴権と呼びます。
この権利の性質・内容については古くから争いがあります。
かつては、訴権は私権の一部であると考えられていました。
しかし、現在では、国家に裁判を要求する公権として
訴権をとらえる公法的訴建説があり、
その中でも更に、勝とうが負けようがともかく
何らかの裁判を受ければよいとする抽象的訴権説と、
具体的に勝つ裁判を要求する具体的訴権説とに分かれていましたが、
勝つか負けるかは判決が下されてはじめてわかることであるから、
訴権とは、勝敗を問わず訴えの内容について
裁判所の判決を要求する公権であると考える説が有力になりました。
また最近では、訴権を裁判所に対して司法行為をなすことを求める権利であるとして、
憲法三二条の「裁判を受ける権利」と結びつけて把握する見解も主張されています。
一方、民事訴訟法に関する解釈問題の解決のための基礎概念として
訴権という概念を認める必要があるのかという疑問から、
訴権を否定する学説も現在なお有力であります。
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