法人は代表理事その他の代表者がその職務を行うにつき他人に加えた損害を賠償する。
法人についての今日の通説は実在説であるので、法人が不法行為について責任を
負う場合も、次第に拡張させる傾向にあり、「職務を行うに付き」というのも、
広く外観上法人の期間の行為と認められる行為なら真実の職務行為
でなくてもよく、またこれと適当な牽連関係のあるものなら
よいと解されています。
例えば、運送会社の取締役が不正に貨物引換証を発行したら、会社は損害賠償の
責任を負います。倉庫会社の取締役が預かり証を受け取らずに預かった
荷物を倉出ししたなどというときも、同じです。
代表者の行為によって法人が不法行為責任を負う場合、代表者自身も責任を負うのは
もちろんで、この二つの人格は、並んで不真正連帯債務を負うことになります。
なお、公務員が「その職務を行うについて」不法行為をすれば、国や
市町村などが賠償責任を負います。いやしくも外形上公務員の
職務行為とみられるものには、国などで責任を負うことは
法人の場合と同じですが、公務員自身は責任を
負わない点が異なります。
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