売買の予約は大きく分けて二種類あります。

一つは当事者の片方からの一方的な意思表示だけで売買契約が成立するもので(片務予約)、

もう一つは予約に基づいて一方の申込みに対して相手が承諾義務を負って、

その合意によって売買が成立するもの(双務予約)です。

 後者は、相手が承諾しなければ訴えによって承諾の意思表示を

求めることができますが、これでは大して意味がないので

実際行われているのは前者の型が多いです。

これを売買の一方の予約といいます。

民法は「売買の一方の予約は、相手方が売買を完結する意思を

表示した時から、売買の効力を生ずる」といっているから、

この場合だけを規定したことになります。

一方の予約によって一方的に本契約(売買契約)を締結させる権利を有する者が、

本契約をするという意思表示をすると、それだけで(というのは相手の

承諾を待たずに)売買契約が成立してしまいます。

このような権利を予約完結権といいます。

 予約完結権は一種の形成権であって、土地建物を目的とするもののときは、

その権利を保全するために仮登記をすることができます。

ただし、行使し得るときから10年を経過することによって消滅します(除斥期間→判例)。

予約完結権を有している者の相手方は、催告することによって、

これを消滅させることができます。