親族間の扶け合い(しんぞくかんのたすけあい)



  近代市民社会法は人の属性を独立・平等・自由なものとし、あらゆる自然的な属性に

 法的効力を付与することをせずに、これにえて法的効力を付与することに

 ついては要保護性補完が何よりも優先無条件であるという理念に

 基づいています。


  親族関係のある者相互間に他人間とは異なる特殊な法的効力を付与する場合も

 その例外ではありません。

 この要保護性の補完が扶け合いなのです。


  この保護付与は夫婦・親子等に則し個々具体的に第2章以下の各則に規定されています

 ので(752条の夫婦間の扶助、820条の未成年の子に対する親族間の監護教育、

 877条の親族間の扶養,etc)、この総則規定の具体的発動の余地は

 少ないのです。


  しかし、財産法の「話し合い原理」に対置される親族法の(話し合いに優先する

 要保護性補完の原理です)「扶け合い原理」を、総括的に明示したものと

 しての意義は大きいのです。