共同相続人の相続分に応じて相続財産を配分することです。 

 共同相続人は、そのうちの一人でも、またいつでも他の共同相続人の

全員に向かって、遺産の分割を請求できるのが原則になります。

しかし被相続人の遺言、共同相続人の協議、

または家庭裁判所の審判によって、

相続開始後五年以内に限り、

遺産の分割を禁止することができます。

ところで遺産の分割では、次の点に注意しなければなりません。

①分割の基準----遺産の分割は遺産に属する物または

権利の種類、性質、各相続人の年齢、職業、

心身の状態および生活の状況

その他一切の事情を考慮して

行うことになります。

だから、長男は土地を、次男は有価証券と債権を、配偶者は住家を、

というように、その相続分に当たる価値を

配分すればよいわけであります。

②分割の方法----遺産の分割は、まず、被相続人の遺言による

指定があればそれに従います。

指定がないときには、共同相続人全員の協議で行い、

その協議が成立しないときには、

家庭裁判所に分割の審判を

求めることができます。

③分割の効果----分割があると、各共同相続人は、

相続開始のときにさかのぼって、

分割された権利義務を

承継したことになります。

したがって、上の例でいえば、

長男は土地を、次男は有価証券と債権を、配偶者は住家を、

被相続人死亡の瞬間から承継したことになります。

しかし、次男の承継した債権が取立不能になったときには

他の相続人にその分を相続分に応じて

負担してもらえます。

また、次男が配偶者に配分されたはずの家屋を、

分割前に善意の第三者に売却してしまった場合には、

第三者はその家屋の所有権を取り戻される心配が残っています。

したがってその保護措置が必要となってきます。

(反対説もあります。)