航海に関する事故、例えば船舶の沈没・座礁・座州・衝突・火災などによって、

船舶または積荷に生ずる損害を塡補する保険で、

損害保険に属します。

 なお、旅客や船員の死亡・傷害に関する保険は海上保険に属しません。

この保険では、船舶・積荷の所有者が被る物的損害が塡補されるのが普通であるが、

特約によって、船費が無駄になった損害や他船と衝突して

損害賠償義務を負うことによる損害も

塡補されることがあります。

 海上保険においても、保険契約者または被保険者の悪意・重過失や

保険の目的物の性質、瑕疵、その自然の消耗から生じた損害について、

保険者が塡補責任を負わないのは損害保険一般の場合と同じです。

 なお商法では戦争その他の変乱による損害についての海上保険者の免責は

定められていないが、海上保険の実務では特約がなければ塡補

されないものとされています。

 海上保険に特有なものとしては、船舶が発航の時から航海する能力を

欠いていたために生じた船舶またはその積荷の損害については、

保険者は責任を免除され、また保険期間についても特則があるほか、

保険委付の制度があります。

 保険委付とは、例えば、船舶が行方不明になった場合、その喪失が確認される前に、

被保険者がその船舶または積荷を保険者に移転して保険金の支払いを

受ける制度であるが、実際上、ほとんど利用されていません。

 なお、海上保険の実務においては、船舶保険と貨物海上保険とに分かれており、

前者には、一定の航海についての保険である船舶航海保険と、

一定の期間についての保険である

船舶期間保険とがあります。

 カテゴリ

 タグ