他人の物を占有している人が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまでその人を留
置できる権利です。
例えば、時計商は修理代金の支払いを受けるまでは、修理した時計を留置してその返還を
拒むことができます。債務者は修理代金を払わない限り、時計を返してもらえないか
ら、留置権は、間接的に修理代金の支払いを強制する働きを営むことになります。
このような留置権の働きを留置的作用といいます。
留置権は、その物に関して生じた債権にいて法律上当然生ずる担保物権ですが、「その物に
関して生じた債権」というのには、上の時計の修理代金の場合などのほか、売買代金や、
お互いに帽子を取り違えた場合の帽子の返還請求権なども含まれています。
なお、商人間では債権がその物に関して生じたものでなくても、留置権を生ずることがあ
ります。
留置権者が積極的に留置物を競売することができるかどうかは問題にされていますが、他
の債権者がその物を競売して競落者が決まっても、競落人はまず留置権者にその債権額
だけを先に競落代金から支払わなければ、その物を受け取れないことになっているの
で、事実上は留置権者も優先的に弁済を受けることができます。
コメント (0)
コメントを書く