流質(りゅうしち、ながれじち)


債務者が弁済期に履行しないときに債務者が質物の所有権を取得するか、あるいは

債権者が質物を勝手に売却してその売買代金を優先的に債権の弁済に

充てることをいいます。


かつてはこれが質物から優先弁済を受ける普通の方法であったらしいのですが、

これを無条件に許容すると、債務者の困っているのに乗じて債権者がわずかな

債権のために故意に高価な質物を奪ってしまうことになりかねませんので、

我が国の民法では、質権設定契約またはその後弁済期前の別の契約で

流質契約を結ぶことを禁止し(流質契約の禁止)、そのような契約は

たとえ締結されても無効であるとしています。


しかし、一応そのような心配がいらないと考えられる商事関係と小額の金融を

目的とする営業質屋については、流質契約は有効とされています。


なお、禁止されるのは弁済期間前の流質契約のみで、弁済期以後は、

当事者間で任意で質物を処分するための契約を結ぶことが

できます。