権利の行使や義務の履行は信義に従い、誠実にこれをすべきものとされてます。

信義誠実の原則ともいわれます。

信義・誠実の具体的内容は時や所の変わるにつれて変化するもので、

結局はその社会の常識・一般通念によって決定されます。しかし、その中心は

権利の社会性を尊重しようとするところにあります。

例えば、印刷した契約書のうち苛酷な条項(例えば、類焼のとき敷金は返還しない

というような)を例文として無効とし、売買の目的家屋が

類焼してしまっていて存在せず、売買が無効のときでも、

これを有効と信じた買主に無駄となった契約費用、

登記費用などの賠償請求権を認めます。

あるいは、奥さんの不注意で借家を焼けば

借主の不注意としてその賠償義務を認めるなど、いずれも信義則の適用であります。

また、すでに法律化されていますが、公租・公課の増加などによって

地代・家賃を一方的に値上げできるなどもその現れで、

信義則の展開である事情変更の原則の一場合であります。

その他権利の濫用も、その実質が信義に反する場合であり、

信義則の適用にほかならず、また、公の秩序・善良の風俗の内容付けも

同様、信義則が行うことになります。