共同抵当(きょうどうていとう)


一つの債権の担保として、数個の不動産の上に抵当権を設定することをいいます。

例えば、甲さんが、90万円を貸し付けるに当たって、X地(価格60万円)、Y地(価格40万円)、Z地(価格20万円)という3個の不動産を一括して抵当に取った場合には、甲さんはXYZのどれからでも債権の全額について優先弁済を受けることができるのが原則でありますので、利便性が良く実際にしばしば利用されています。


しかしその反面乙さんがX地に15万円の債権について二番抵当権を持っているような

場合には、甲さんがXYZのどれからでも自由に90万円を取れるように

しておくことは、乙さんの利益を不当に無視することになります。

そこで我が国の民法では次のような配慮を規定しています。


第一に、XYZが同時に競売され代金が配当される場合には、甲さんは自由に

ある不動産の代金だけから弁済を受けることは許されず、XYZの価格の

割合に応じて弁済を受けなければならないとしました(Xから45万円、

Yから30万円、Zから15万円の弁済を受けることになり、

乙さんはXから15万円の弁済が受けられます)。


第二に、Xの代価だけ先に配当するような場合には、甲さんはその代価60万円

全部を取得することができます。

その代わり、乙さんはXYZの代金を同時に配当する場合に甲さんが弁済を

受けるであろう金額(Yから30万円、Zから15万円)に達するまで、

甲さんに代わって一番抵当権者として優先弁済を受けることが

できます(Yから10万円、Zから5万円だけは甲さんの

地位に立って優先弁済が受けられます)。