物(もの)


日常用語としての「物」は、種々の意味に使われています。それを、そのまま法律中に

持ち込めば、物の意味をめぐり無用の争いを招きかねません。旧民法は、物を

有体物無体物に分け、権利などを無体物としていましたが、現行民法は、

物という言葉を有体物に限定して用いることにしました。

したがって、精神的創造物・電気・熱・光・電波などの無体物は、民法上の物には

含まれません。しかし、このことと、これらの無体物について権利が成立するか

どうかは別の問題で、これらについても、所有権類似の排他的支配権や

賃借権類似の債権的利用権などが成立します。特許権、

実用新案権、電気などの利用権等々。

つまり、物を有体物に限定することは、私有財産権の定義としては狭すぎます。この点に

着目し、物を排他的支配(私有)可能なものと定義する学説が少なくありません。

人間は、財産権の主体であり、客体(奴隷)とすることは許されませんが、

死体については、所有権が成立します。

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