不完全履行(ふかんぜんりこう)



債務者がとにかく履行はしたのだが、その履行が債務の本旨に従った完全なもの

ではない場合をいいます。


履行遅滞や履行不能と並び、債権不履行の一種です。


我が国の民法に直接の規定はありませんが、民法415条から推測できます。


例えば、買った本に落丁があったとか、お米を5キロ買ったはずが4キロしか

なかったとか、あるいは植木職人に植木の移植を請け負わせたら、

移植してかえって枯死してしまったというような場合です。



不完全なる履行が債務者側の故意または過失によるときは、債権者はそれによって

生じた損害の賠償を請求できます。

通常4キロのお米を5キロありとして給付しても履行が不完全なことによる

損害はないでしょうが、移植に失敗して植木を枯らした場合などは

不完全な履行による損害があります。


更に不完全履行の場合には、追完の可能な限り、債権者は完全な履行を

請求できます。

落丁のある本は取り替えてもらったり、お米1キロを追加して

もらえれば済むことです。


これに対して判例は、債権者が不完全な給付をいったん受領したらそれ以降は

追完請求はできず、瑕疵かし担保責任を追及できるのみだとしています

債権者は損害賠償のほか契約の解除を請求することが

できるのみです。