当事者が、自己の申立てを理由付けるために提出する、訴訟資料のすべてをいいます。

原告が自分の訴えの申立ては適法であり、訴状記載どおりの認容判決の申立てが

理由のあることを主張するために提出する、一切の訴訟資料を攻撃方法といい、

被告が訴えの不適法であることによる却下の申立て、

および請求の理由のないことによる請求棄却の申立てを理由付けるために提出する

一切の訴訟資料を防御方法といいます。


例えば貸金返還請求訴訟では、原告が貸金債権の成立を理由付けるために、

まず、消費貸借契約の締結の請求原因事実を陳述するし、

これに対して被告は貸金債権の成立を争ってそれを否認します。


そこで原告は金銭貸借の事実を証明する証拠として借用証書を提出します。

被告はまた錯誤とか通謀虚偽表示による無効を主張します。

または権利濫用、期限の猶予のあったことなどの権利行使に関する抗弁を主張するし、

また、弁済の主張とか、消滅時効の援用とか債権消滅の抗弁を提出します。


これに対して原告はこれらの抗弁を否認し、更に、錯誤に対して、

重大な過失のあったこと、取消しに対しては追認のあったこと、

時効の援用に対してはその中断のあったことなどの再抗弁を提出します。

そして原告・被告双方から争われた事実を証明するために証拠が提出されます。

このような請求原因事実の主張、抗弁、最抗弁の主張、否認、拳証などの

すべてをまとめて、攻撃防御方法といいます。

それに、取消権とか解除権、相殺権などの私法上の形成権の行使も、

その意思表示の陳述は攻撃防御方法です。

更に、訴えの適法・不適法を指摘する陳述、あるいはそれを根拠付ける

事実の主張・証拠もこれに含まれます。


これらの攻撃防御方法のうち、

例えば、所有権確認の訴えで売買、取得時効、相続などの取得原因、

あるいは前例での弁済、消滅時効、相殺などの債権の消滅原因など、

いずれもそれだけで他のものと独立に判断できるものを、

特に独立した攻撃防御方法といいます。