法律行為に当たって当事者が示した条件は、法律行為の

内容の1部にほかなりません。したがって、

条件付法律行為が有効か無効かは、

法律行為の通則に従って決められるなります。

この点につき、民法は、若干の注意規定を置いています。
 
 ①不条件行為-脱税に成功した報酬を与えるといったように、

不法の条件が示されることで、法律行為全体が公序良俗に

反する場合は無効です。また、

裁判所で偽証をしなければ報酬を与えるといったように

不法な行為しないことを条件とする法律行為も

公序良俗に反し無効であります。

真実の証言(当然なすべき行為)を

買うに等しいからです。
 
 ②不能条件-停止条件が現実不可能な場合、その法律行為は

効力を生ずる余地はなく無効になります。

現実不可能な解除条件が示された場合、

その法律行為の効力は消滅するはずがなく、

無条件となります。
 
 ③純粋随意条件-贈与の効力発生時期を贈与者の意思次第と

する場合のように、債務者の意思だけにかかる

停止条件付法律行為は無効です。

当事者に法的義務を生ぜしめる意思が

認められないからです。
 
 ④既成条件-法律行為当時、既に条件が成就していた場合、

それが停止条件なら直ちに効力を生ずるから無条件となり、

解除条件なら、直ちに効力がなくなるから無効です。また、

条件の不成就が法律行為既確定している場合、

それが停止条件なら効力発生の余地がないから無効であり、

解除条件なら効力消滅の余地がないから無条件となります。
 
 民法は、当事者が条件の成就・不成就を知らないうちは、

条件付権利の不可侵を定めた128条・条件付権利の効力を

定めた129条を準用すべきものとしていますが、

既成条件の場合、当事者は、条件のつかない権利を

取得するかまったく権利を取得しないかのいずれかなので、

これを準用する余地はないと解されています。(通説)