既に焼失している家屋を売る契約のように、はじめから履行が不能である場合。

広い意味での履行不能の一種。後発的不能(契約成立後、家が焼けた場合)

と異なり、契約はそもそも成立することがなく、したがって代金支払いとか、

債務不履行による損害賠償の問題は生じ得ません。
 
 しかし、売手の方で履行が不能であることを知っていたか、あるいは過失で

知らなかったような場合には、買手が契約を有効だと思って引越しの準備を

したり他の安い家を買う機会を失ったという損害(信頼利益)は

売手に賠償させるべきだという考えがあります(契約締結上の過失)。

しかし、これまでこのような賠償を認めた判例はありません。