買主は、同時履行の抗弁権を援用できる場合のほか、①売買の目的物につき

権利主張者があって買い受けた権利を失うおそれがある場合、

②売買の目的たる不動産に担保物権がついている

場合につき、代金の支払拒絶を

なすことができます。

 ①の場合は、買主はその危険の限度に応じて代金の全部または一部の支払いを

拒絶することができます。②の場合は、買主は抵当権消滅請求の手続を

終わるまではその代金の支払いを拒絶することができます。

なお、②の買主の抵当権消滅請求については

別項参照してください。

 買主のこの権利に対し、売主には代金の供託請求権があります。

この供託を求められたときは、買主は供託に

応じなければなりません。

これは、代金支払拒絶権を認めて買主を保護するとともに、売主の立場を

考慮し、もって取引関係における当事者の利益を衡平の

維持しようとする趣旨で認められたものです。