中間省略登記

 例えば、Aが不動産をBに売り、Bが更にこれをCに売った場合、

まずAからBへの移転登記をし、ついでBからCへの

移転登記をするのが本来のやり方であるが、

中間のBをとばしてAから直接にCに売ったような一段の移転登記を

申請することがかつてしばしば行われ、登記官も形式的な

審査権限しか持たなかったから、そのまま登記がなされました。

かような登記を中間省略登記といいます。

 中間省略登記は、実体上の取引の過程を忠実に表示するものではないが、

現在Cが権利者であるという点では実体と一致しています。そこで、

省略される中間者Bの了解があってやった場合か、

Bの了解がなくとも、Bとして登記が

いったん自分を経由することを要求し得る特別の事情

(例えばBがCからまだ代金を受け取っていないなど)

がない場合には、中間省略でCが取得した登記は

有効であると考えられていました。

 平成16年の不動産登記法の改正で、権利に関する登記の申請にあたって

登記原因証明情報(登記原因たる事実または法律行為の存在を証する情報)の

提供が義務づけられたことで、

中間省略登記は事実上困難になりました。