夫婦財産契約(ふうふざいさんけいやく)



  夫婦となることにより、他人間とは異なる特殊に負わされる義務は貞操及び保護義務に

 限定され(婚姻の積極的効果)、その他は婚姻前におけるのと同じように、婚姻により

 変更を受けることはありません(例えば、夫婦の持ち寄った財産の所属は、婚姻に

 より何の変更を受けません。762条は、この趣旨を注意的に規定しています。

 婚姻のいわば消極的効果にあたります)。


  市民社会法は個々人の意思をあくなく奉仕する法体系でありますので、例えば夫婦の

 共有関係にあるものとしたいと願うのであれば、この願いもまたかなえなければならず、

 そのような婚姻当事者の契約もまた当事者間では有効となります。


  しかし、市民社会における第三者意思もまた尊重されねばならず、そうした要請から、

 かような特別な契約をするにあたっては、婚姻届の提出前に管轄法務局において

 夫婦財産契約の登記をしておくことが必要となり、この登記がなければ

 第三者等にその特別の契約のあることを主張することができません

 (一度なされた夫婦財産契約は、他方配偶者に契約違反があった

 ような場合でない限り、以後変更登記を行なうことが

 できません)。