登記手続きにおいて登記官に認められる審査権限の性格をどうとらえるかは、

審査の対象と審査の方法から判断される。
 
 不動産登記法は、登記官の審査権限の一般的規定をおかず、ただ制限的に

列挙された場合-登記所の管轄違い、

登記すべきものでない事件(例えば入会権や留置権の登記、利息制限法違反の

利息を定めた抵当権設定登記)、

申請人が申請権限を有していない(当事者と自称する申請人が当事者でなかったり、

出頭者に意思能力のないことの一見して明白な場合)等-について

申請を却下すべきとしています。

右の審査事項は形式的な事項に限られた物でもなく、実体法上の事項にも

及んでいることから、審査事項の面から登記官には形式的審査権しかない、

ということはできません。

 一方、登記法は、申請情報の審理を原則とし、申請内容と一致した実体関係の

存在を積極的に確信することまですることまで要求しておらず、

ただ申請された情報の外形から登記の無効または無効登記を生じるおそれの

明白な場合であるかどうかの判断が求められているだけであるから、

審査の方法の面からみたとき登記官には形式的審査権しかないということになります。

 一般に窓口的審査権といわれるゆえんであります。

もっとも、表示の登記については、登記官については、登記官には、

申請情報の内容と事実との符号を確認する調査権限と職責、

つまり実質的審査権限が認められています。                                                                                                                                                                      
                                

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