刑法(けいほう)



  「刑法」・・・この言葉には、およそ三種の用法があります。


  ①どういう行為が犯罪となり、それがどの程度の罰を科せられるかということを

 定めた法律という意味があります。

 「刑法」という名称は、刑罰のことを定めた法律という意味で

 付けられているに違いありません。

 ドイツでも刑罰の法という意味を表す”Strafrecht”という名称が付けられています。

 その点は、日本で「刑法」という名称を付けているのは、ドイツに似ています。

 しかし、フランスやイギリス、アメリカでは、刑罰の法という意味の言葉(Code pénal:

 Penal code,etc)も使用されていますが、犯罪の法という意味の言葉(Droit criminel:

 Criminal law)も使用されています。

 主として前者は形式的な法規の名称、後者は実質的な「刑事法」というような

 意味に使用されるようです。

 これらの名称からも分かるように、刑法は犯罪のことと刑罰のこととを

 規定しているのです。

 この意味では、内外諸国の刑法や昔の「刑法」も刑法にあたります。


  ②「刑法」という名の付けられている現行の法律(法規)を意味します。

 この意味では、現在の日本の「刑法」だけを意味します。

 それは明治40年(1907年)に公布され、翌年10月1日に施行され、

 その後数回の改正を経て、現行の法律として存在しています。


  ③「刑法」という名は付いていなくても、一切の刑罰を定めた法令を総称して、

 単に「刑法」と称することがあります。

 この意味の刑法から「刑法」という名の法律を除いて称するときには、

 それを「特別法」とか「特別刑法」と称する

 慣例があります。

 「労働刑法」、「行政刑法」、「経済刑法」なとというのは、

 皆この特別法の分科を意味します。