限時法(げんじほう)



  一定の期間内に限って効力のあるものとして制定された法律をいいます。

  これがひととおりの定義ではありますが、限時法の概念は確固不動のものでは

 ありませんので、これと多少違う用例もないわけではありません。

 意義に広狭の差が生じています。

 いずれにしても、法の有効期間が限定して予告されているところに、

 限時法の特色があります。


  もし一般の法律の場合であったならば、その法律の廃止の時期が到来すれば効力を

 失い、たとえその有効期間中に行なわれた犯罪行為であっても、刑事手続の上では、

 免訴の言渡しをしなければならなくなるのですが、限時法の場合にも

 そうしたのでは法の威信が保てなくなります。

 予告された失効時期の直前になれば、人々は免訴を見越して平然と

 犯行に及ぶかもしれません。

 そこで、限時法に追及効を認めるべきだとされています。

 つまり、限時法に限り、その法律の失効時期の到来した後でも、

 それが有効であった当時に行なわれた行為に対しては、

 有効な法律規定として適用を認めるべきだと

 されています。


  立法上明文を置いてそのように定めている場合もありますが、

 明文がなくても、理論上これを肯定すべきか否かについては、

 諸説があります。