某所の土地を売主が5000万円で売ろうといい、買主が買おうといって、二人の意思表示

が合致すれば、契約は成立します。その場合に、先になされた意思表示を申込みといい,

後になされた意思表示を承諾といいます。買主の方が先に、5000万円で

買いたいといえば、それが申込みになります。


 ①申込みと申込みの誘引の区別-売地の広告をみて「買います」といってもそれが承諾

になるわけではなく契約は成立しません。売主が、買手の資力などを

判断したうえで、あらためて「それでは売りましょう」

といってはじめて承諾になります。

つまり、売地の広告は申込み自体ではなく、「申込みの誘引」にすぎません。両者の区別は、

あらためて意思表示をする必要があるかどうかの点であり、入札や競売(せり)

による契約の競争締結の場合に問題になります。

入札の広告」は申込みでなくその誘引です。広告に従った入札が申込みとなり、

落札が承諾となります。また売買価格につき多数の者を口頭で競争させ、

その中で最も有利な価格を申し出た者と売買契約を締結する

せり売買」では、最高価格をつけた者に

必ず売らなければならないのではなく、

あらためて承諾を要することが多いです。

最高価格をつけることが申込みとなるからです。

「見積書」も申込みでなく、申込みの誘引であることが多いです。

 
②申込みの拘束力と撤回-承諾の期間を定めて申込みをした場合は、その到達により効力

が生じ、期間内は勝手に申込みをとりやめること(申込みの撤回)はできません。

これを申込みの拘束力といいます。

期間内に承諾がなければ当然に効力を失います。普通ならば、到達するはずの承諾の郵便

が遅れたときには、申込みは効力を失って契約は成立しないはずだが、

この場合だけは申込者が「承諾が延着した」という

通知をしなければ、契約は成立します。

 承諾の期間を定めずに申込みをした場合には、承諾通知をするのに相当な期間内は

申込みをとりやめることはできません。承諾通知を出した後で、

申込みとりやめの通知が遅れて届いたときは、

すぐにその延着通知を申込者に出さなければ

契約は成立しなかったものとされます。

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