犯罪の成立要件である「違法性」をなくさせる一連の根拠をいいます。

 刑法の各則規定のうちの刑罰を科している条文に当てはまる行為は、

 一応違法なもの(形式的違法)と判断されます。

 しかし、その行為が実質的に、社会的に許されるものと認められる

 場合には、そうした違法性が脱落します。


  刑法は、35条から37条で正当防衛正当行為緊急避難

 三つを違法性阻却事由としています。

 しかし実際には、これらの三つに限らず、その他にも違法性阻却

 事由がいくつか認められています。

 自救行為、被害者の承諾などはその主な例です。

 しかし、労働争議行為、治療行為などについては、これを35条の

 正当行為に含めるか否かをめぐって争いがあります。

 いずれにせよ、範囲に広狭の差はあるものの、刑法が規定している

 前記三つの場合に限らず、実質的にみて、社会的に相当性のある

 行為は違法性を阻却する、という考え方が支配的です。


  このような、刑法に規定されている以外の違法性阻却事由を

 超違法性阻却事由と称しています。