未遂のうち中止未遂を除いたものを指します。
 
 
  我が国の刑法43条前段には「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかったものは,

 その刑を減軽することができる」と規定しています。

 すなわち、前述の「犯罪の実行」の開始ということはあったが、何らかの

 事情によって、犯罪を完了するに至らなかったときは、

 これを「障害未遂犯」といいます。

 これは未遂犯の一種である「中止犯」と区別する意味において、

 また「狭義の未遂犯」とも称され、それは主として積極的な

 行為による犯行、特に故意犯の場合に生じてくる

 犯罪形式なのです。


  この狭義の未遂犯には、いわゆる「着手未遂」と「実行未遂」との

 区別があります。


  着手未遂とは行為者が、ある犯罪の実行に着手したが、自己の意思以外の

 事情に妨げられ、予定した行為の全部を成し遂げるに至らなかった

 場合をいいます。

 そのうちには、

 ①以外の外部的な障害による場合

 ②行為者の誤解が犯罪を不完了に導く場合

 ③いわゆる「やり損ない」すなわち行為者の実行方法が
  
  拙劣であったことによる場合

 とがあります。


  実行未遂とは、予定の行為は全部完了したが、所期の結果を挙げることが

 できなかった場合をいい、あるいはこれを「終了未遂」ともいいます。

 そのうちには、

 ①行為者の意思活動から独立したほかの自由によって結果の発生
 
  しなかった場合、例えば相手方に致命傷を与えたが
 
  名医の治療で一命を取りとめた場合

 ②結果の発生は確実であるが、現在的にはなお結果の発生して

  いない場合、例えば傷害は死を導くこと必定であるが、

  被害者はなお生存している場合

 ③行為は完了したが結果の発生はなお不明確な場合、

  例えば殺人行為による被害者は重傷であるが、

  死亡するか否かは不明の場合

 などがあります。