船舶所有者の責任を制限する制度は、特定の船舶による航行活動の結果、

運送人たる船舶所有者が負担すべきすべての不法行為責任および船舶を

手段とする運送に関するすべての債務不履行責任について、

その責任を一定の限度に制限することを認めるものです。

 元来、債務者は、債権者に対して無限責任を負うのが原則です。

この理は、船舶所有者が、その債権者に対する関係においても同様であって、

船舶所有者は、陸産および海産の全財産をもって、債権者に対して

その責めに任ぜられなければならないはずです。

けれども、このいわゆる船主責任制限制度は、海商企業の沿革上および海商企業を

奨励する手段として古くから認められ、各国の導入するところとなっています。

 この法律は、1957年(昭和32年)の「海上航行船舶の所有者の責任の制限に

関する法律」に準拠して、昭和50年12月に制定され、

昭和51年9月から施行されました。

その後、1957年条約において定められている責任限度額の大幅な

引上げを内容とする1976年の「海事債権についての責任の制限に関する条約」

に沿うように、昭和57年5月に改正され、昭和59年5月から施行されています。

主要な改正点は、責任制限主体の拡大と、責任限度額の引き上げなどです。

 カテゴリ

 タグ