手形行為の方式として手書きで氏名を記載するか(署名)、氏名を記載して

印章を押捺します(記名捺印)。

 振出し、裏書などの手形行為をするには、常に必ず、署名という形式で

書面行為をすることが必要であり、書面行為によらなければ手形関係を

作り出すことはできません(設権性)。

 手書きの署名には捺印を要しないが、普通は、第三者に署名を任せ、

ゴム印などで記名したうえ、捺印することが多いです。

署名と記名捺印は共に手形署名の方法として認められているが、

最近では、個人小切手のように、署名に限る場合もあります。

 署名または記名捺印の場合の記名の仕方は、戸籍上の氏名や

登記簿上の商号と必ずしも一致する必要はなく、雅号、通称、

芸名、ペンネーム、取引上慣用している他人名義など、

要するに、本人の同一性を判別できる記載であれば

足ります。

 記名捺印の場合の印鑑は、実印を使う必要はなく、また常用としている

印鑑でなくてともよく、三文判や、同姓異人の印鑑を借りて使ってもいいです。

拇印も捺印として認めてもいいです。

 法人が手形行為をするには、代表機関が、法人名と代表資格を示して

自ら署名することを要し、組合の手形行為には、代表組合員が、組合名と

代表資格を示して署名すれば、組合員全員が共同振出ししているものと

みなされ有効と解されています。

 法人署名か個人署名か判別できない場合(代表または代理資格の表示が

なく法人名の表示と個人名の記名および個人印の押捺のある場合)には、

所持人は法人か個人かいずれかを選択して請求でき、請求された者は

所持人の悪意を立証できない限り支払いを強制されます。

 わが国では、西欧のサインと違って、普通は記名捺印による場合が多く、

印鑑をいちいち押すことだけが署名の個性であって、偽造の危険が

大きいので、銀行取引では、あらかじめ届け出た印鑑と印影とを

相当の注意を払って照合して支払えば免責されることと

なっています。

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