裁判所は、債務者の財産が減損したり、散逸してしまう危険を防止し

将来の破産財団を確保するために、利害関係人の申立てにより、

または職権をもって、破産手続開始の決定前でも、

処分禁止の仮処分その他必要な保全処分を

命じることができます。

この保全処分は、本案訴訟を前提とせず、破産手続の中でその一環として

なされるものであるから、処分禁止の仮処分等といっても、

民事訴訟法上の保全処分とは本質的に異なっています。

 保全処分の典型例としては、債務者の不動産・動産・債権などの

仮差押えや処分禁止の仮処分、商業帳簿などの閉鎖・保管の仮処分、

営業の強制的管理の仮処分などがあります。

これを超えて、どこまで強力な保全処分ができるかは、会社更生法上の

保全処分との関連で議論がありました(例えば債権者に対する弁済を

禁止する仮処分、債務者の借財を禁止する仮処分、

債権者による強制執行の禁止または停止の仮処分、

否認権行使を前提とする第三者〈受益者〉の財産に

対する仮処分などができるかどうか)。

 平成16年に成立した新しい破産法では、一定の場合に、債務者の財産に

対する強制執行等の手続を中止する命令、全債権者による

強制執行・国税滞納処分を禁止する命令(包括的禁止命令)、

法人の債務者について保全管理人による財産管理の命令

(保全管理命令)、否認権のための保全処分などが

認められています。

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