破産者に対する強制執行の形をとって有害な行為が行われた場合に、

これを否認できることです。

否認の対象となる行為は、その行為について債務名義があるときと、

その行為が執行行為に基づくものであるときとの2種類に

分けられます。

 前者の否認については、債務名義の基礎になる原因行為そのものを

否定する場合、裁判上の和解、執行受諾などの破産者の債務名義成立行為を

否認しようとする場合、債務名義の内容を実現する行為を否認しようと

する場合の3つに分類するのが有力な見解です。

 後者の執行行為に基づく行為を否認する態様については、執行行為に

基づく債権者の満足(債務の消滅)が否認の対象となるのか、

それとも強制競売や転付命令などの執行行為自体を

否認できるのかについて議論があります。

少なくとも、第三者の利益が害されない場合には(転付命令や強制競売で

債権者が競落している場合など)、執行行為自体の否認を認めても

よいと解すべきです。

 これとの関連で、いかなる要件のもとに否認が認められるかも議論があります。

特に、執行行為そのものは破産者の行為とはみられないので、破産者の

行為でないものを否認できるかどうかが問題になるし、これを肯定する

としても故意否認の要件との関係で、破産者が執行を招致したりこれに

加功したことを条件に否認できるとする立場と、破産者の主観的要素を

必要としないとする見解が対立しています。

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