裏書が、所持人まで形式的に連続しているとみられることです。

裏書連続の認められる手形は、所持人が権利者であるかどうかに

ついての挙証責任を債務者に転換する効力を持ちます。

 形式的に裏書がつながっていて、手形が正当に譲渡されてきたと

みられる外観が認められる場合には、ほとんどの場合、所持人は、

本当の権利者です。

そこで、裏書連続のある手形の所持人は、自分が権利者であることを

証明しなくとも、手形を呈示して請求できる資格(形式的資格)を

認められています。

 更に、裏書連続の外観のある手形を譲り受けて所持している人は、

たとえ譲渡人が権利者でなくとも、また、譲渡行為に制限能力、

無権代理などの瑕疵があっても、資格によって保護され、

その悪意、重過失が立証されない限り、手形を返還

することを要しません(善意取得)。

また、裏書連続を信頼して、所持人が権利者であること重過失なく

信じて支払いをした債務者は、たとえ所持人が権利者でなかった

場合も、本当の権利者に重ねて支払いをする責任はありません。

このようにして、法は裏書連続ある手形の所持人を保護し、また、

裏書連続に対する信頼を保護して、手形(小切手)の流通を

安全でスピーディーなものにしています。

 この形式的な資格の前提となる裏書の連続とは、要するに、

第一に受取人が裏書をし、その裏書で被裏書人に指定され

ている人が第二の裏書をし、更に第二の裏書で被裏書人

として指定されている人が第三の裏書をする、という

順で、現在の所持人まで裏書がつながっていることです。

なお、白地式の裏書が介在している場合は、次の裏書人は、白地式裏書で

手形を取得したものとみなし、最後の裏書が白地式の場合は、所持人は

その裏書で直接手形を譲り受けたものとみなして、裏書の連続

を認めています。

 被裏書人の記載と、次の欄の裏書人の署名とは、あくまで形式的に

つながっていれば十分であるし、また、形式的につながって

いなければなりません。

すなわち、裏書に、制限行為能力、偽造、虚無人署名、無権代理など

無効なものが交ざっていても、形の上でつながっていればよいです。

裏書や受取人名が変造されたことが主張されても、

裏書連続は害されません。

逆に、被裏書人と裏書人とが本当は同じ人であっても、表示の仕方が、

常識で考えて同じ人を示したものと読み取れないような場合は

連続は認められません(例えば、「榎本和照」が「榎本浜次郎」の

僧名であることは当然にはわからないから2つは連続しない、等)。

 もっとも、記載上同一人であると読み取れればよいのであって、

一字一句厳密に一致することは必要ありません(甲と甲代理人乙、

甲会社と甲会社取締役乙は、代理署名として連続するし、

椿井商店と椿屋商店椿井健蔵も連続を認められる)。

また、甲と甲相続人乙も形式上は連続するとみていいです。

 裏書のどれかが抹消されている場合は、一般には正当な末梢である

可能性が大きいので、外観上明確に抹消された裏書は、抹消権限の

有無や末梢の時期いかんを問わず、はじめから記載されなかった

ものとして連続を決めます。

記名式裏書の被裏書人の記載だけが抹消されている場合は、正当な

抹消かどうかにかかわりなく、白地式裏書をみて連続を

決めてもいいです。

 裏書連続のある手形の所持人は、手形で請求できる資格を認め

られるだけであるから、所持人が実質的に無権利者であることを

反証すれば、債権者は支払いを断ることができます。

また逆に、裏書が連続しておらず、資格が認められなくとも、

自分が実質的に権利者であることを立証すれば請求ができます。

 カテゴリ

 タグ