金銭債権(きんせんさいけん)


一定額の金銭を支払うことを目的とする債権をいいます。


代金や貸金・賃金などの債権のように、今日の多くの債権は金銭債権です。

金銭はどのお金で支払うというように金銭の個性が問題になることは

ありません。

例えば、家屋の売買で家屋が焼失して給付できないというように履行不能になることはありません(債務者に資力がなくて支払えないというのは履行不能には当たりません。

お金が手に入りさえすればいつでも履行できるからです。

これに対して、特定の家屋は焼けてしまうと債務者の資力の有無にかかわらず、もはやその家屋の給付はできません)。

したがって、金銭債権については履行遅滞が問題になるのみです。


そして履行遅滞による遅延賠償について、金銭債権は特殊な取扱いを受けています。

すなわち債務者の故意・過失や実損害の有無にかかわらず、金銭債権の

履行遅滞によって債務者は遅延利息を支払わなければなりません。


なお、金銭に個性はありませんので債務者はどの貨幣や紙幣で支払っても

構いませんが、特に1,000円札で支払うなどと定めることもできます。

外国の通貨で金額を決めておいても、特約のないときには履行地の

為替相場により日本の通貨で支払っても問題ありません。