株主に対して募集株式の発行をなす場合(株主割当による募集株式の発行)や

株主に対して新株予約権の無償割当てをした場合に、旧株の譲受人が

割当期日までに名義書換をしなかったため、

譲渡人(株式名簿上の名義株主)に割り当てられた

株式または新株予約権の目的たる株式を

失念株という(狭義の失念株)。

失念株の問題は、剰余金配当や清算時の分配金などを受けるために必要な、

株主名簿の名義書換をしなかった場合(広義の失念株)にも生ずる

(例えば分配金の帰属者は、だれか)。

募集株式発行の場合、失念株の帰属が中心の問題点であるが

これについては譲渡人、譲受人と会社との関係および譲渡人と譲受人との

関係の両面が問題になります。

 会社との関係では、会社が譲渡人に株式を割り当てることは有効であるから

(名義株主でない譲受人に割り当てることができるかの問題が残る)、

問題は譲渡人が割り当てを受け、申込み、払込みをなして

取得した株式の帰属いかんである。

譲渡当事者間では、株主権は譲受人に移っているのだから、譲渡人は不当利得

あるいは準事務管理の法理により、株式ないし、その売得金を譲受人に

返還しなければならないと解されています。

 なお、この場合、譲渡人は譲受人に対し株式の引受、払込みなどに要求した

費用の賠償請求をなすことができます。

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