債務不履行(さいむふりこう)



広義では、債務者が債務の本旨に従った履行をしないことをいいます。

債務の本旨に従った履行なのかどうかは、当事者が果たそうとした目的、取引の

慣行、信義則などを取捨して判断されます。

例えば、米屋が約束の日時にお米を届けないとか、すし屋に届けたお米が外米で

あったというような場合には、債務の本旨に従って履行をしたとは

いえないでしょう。


債務不履行には、履行遅滞履行不能不完全履の3つの型があります。


履行遅滞とは、先の例のお米を届けなかった場合のように履行が可能なのに

債務者が履行期までに履行しない場合をいいます。

履行不能とは、例えば、売買の目的物が焼失した場合のように履行したくても

履行ができなくなった場合をいいます。

そして、不完全履行とは、先の例の届けたお米の品質が悪いとか、あるいは

量目不足である場合のように一応履行はしたが、その履行が完全でない

場合をいいます。


債務不履行のときには(履行不能でなければ)債権者は裁判所に訴えて

強制履行をしてもらうことができます。


更に、狭義で債務不履行というときには、債務の本旨に従った履行がなされないと

いう状態があるだけではなく、その状態が債務者の故意若しくは過失に

起因している(債務者の責めに帰すべき事由による)

場合を意味します。

通常債務不履行といえばこの意味を指します。

債務者に責任があるときには、債権者は債務者に対して

不履行によって生じた損害を賠償してもらえます。


また、債務が契約から生じたものであるときには、債権者は一定の手続に

よって契約を解除することもできます。