争点・証拠の整理のための手続の1つであります。

旧法でも準備手続はありましたが、種々の欠陥のために、

実務においてはあまり行われなくなってしまいました。

そこで新法はそれを全面的に改正して、

争点・証拠の整理を効率よく行えるようにしたのであります。

この手続の開始は、受訴裁判所が争点・証拠の整理が必要であると認めましたが、

準備的口頭弁論によるよりも、非公開のこの手続による方が適切であると

判断したときに、事前に当事者の意見を聴いて決定によって開始します。


弁論準備手続を主催する主体は受訴裁判所が原則であり、

一定の範囲内で受命裁判官にも行わせることができます。

受訴裁判所であるだけに、文書の証拠調べや期日における裁判ができるほかに、

口頭弁論の期日外でもできる裁判も、この手続においてすることができることにして、

争点・証拠の整理を効率よく、円滑に行うことが可能となりました。

また、受命裁判官が担当できるのは、受訴裁判所を構成している裁判官だからであります。

ただ、期日外の裁判はできないので、そのような裁判の必要がない場合に

担当することになります。


弁論準備手続の期日は、当事者双方が立ち会うことができる期日において行いますが、

当事者双方が現実に立ち会うことを条件にしたわけではありません。

したがって、当事者の一方が、期日の呼出しを受けながら、欠席した場合でも、

当事者から事前に意見を聴いて、電話会議の方法により、

出頭した場合と同様に手続を行うことができます。

この当事者は、原則としてその期日に出頭したのと同様に、

必要な訴訟行為をすることができます。

したがって、その期日には出頭したものとみなされます。

この期日は、公開を要しません。

傍聴自由な場所では、争点などの整理を円滑に行うことが困難なものがあると

考えられたためであります。

それでも、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができるし、

当事者が申し出た者については、原則として、傍聴を許さなければなりません。

もっとも当事者が申し出た者でも、その傍聴を認めると、

手続を行うのに支障があると認められる場合には、

そのような者の傍聴を許さないことができます。

このようにして行われる弁論準備手続も、

その後の証拠調べにより証明すべき事実が明確となると、

裁判所と当事者双方がその事実を確認し、

その結果を要約した書面を提出して終了します。

その後は、最初の口頭弁論期日において、ただちに証拠調べができるように準備されます。

口頭弁論においては、弁論準備手続の結果が陳述されますが、

その陳述には、ことに、確認された「証明すべき事実」が中心となり、

それに引き続いて、一気呵成に集中証拠調べが行われることになります。

そこで、せっかく弁論準備手続によって争点・証拠の整理が終了したにもかかわらず、

当事者の一方が弁論準備手続において提出しなかった攻撃防御方法を、

その後に提出することによって、争点・証拠の整理の結果を無視するような場合に、

相手方から要求があるときは、その理由を説明する義務を負わせることにしましたが、

これは、準備的口頭弁論におけると同様であります。