原状回復義務(げんじょうかいふくぎむ)



  契約が解除されると、契約は当初に遡って解消してしまうので、いったん引き渡した

 物を返してもらい、代金は返還するというように、お互いに契約のなかった

 元の形に戻さなければなりません。

 これを原状回復義務といい、①遡及効の問題と、②併せて損害賠償

 請求できるかが問題となります。

 我が国の民法では、①については第三者保護を講じ、②については

 損害賠償の請求を認めています。


  なお、不法行為の効果についても、損害賠償請求のほかに、原状回復を認め得るか

 否かが問題となります。

 名誉毀損という形の不法行為については「名誉を回復する適当なる処分」が

 行なわれますが、これは一種の原状回復にあたります。

 また民法以外では鉱害の賠償について原状回復が認められ、企業間の不正な

 競争については信用回復に必要な処置をとることが認められています。

 ただし、一般的に不法行為の効果としては原状回復は認められていません。