主観主義・客観主義(しゅかんしゅぎ・きゃっかんしゅぎ)



  刑法上の評価の対象として、行為の客観的表現ことにその結果に注目する立場を

 客観主義といい、古典学派が採る理論です。

 これに対し、行為の主体面つまり行為者(犯人)に注目する立場を

 主観主義といい、実証学派が採る理論です。


  この対立する理論は、刑法上の諸事項を具体的事件に適用する場合に

 いろいろ対立的な見解をとなることが多々ありますが、

 まったく調和が不可能のものではありません。


  今やその両者の止揚しよう統一ということを試みる学説も現れてきています。

 それは当然のことで、犯罪は人間の行為である以上、行為者を離れて行為はなく、

 また行為を無視して行為者を評価することはできないからです。


  刑法が人を罰するものであり以上、罰せられる人を無視し得ないとともに、

 刑法は社会の安全のために存するものでありますから、犯罪の社会に

 及ぼす影響(客観的結果)を無視してよいはずがありません。