応報刑・教育刑(おうほうけい・きょういくけい)



  悪いことをした者には悪い報いがあるのが当然であると考え、刑罰をそういう

 意味での苦痛な報いだと解するのが応報刑論です。

 この思想は古代から現在まで続いています。

 ところが、刑罰は悪事に対する報いではなく、罪人を教育して改悛かいしゅんさせ、

 社会に有用な人間にすることを目的とするものである思想が

 19世紀末から台頭してきました。

 これが教育刑論目的刑論などと称される思想です。


  この新たな思想は古くからある応報計論を野蛮な復讐思想であるとして

 激しく攻撃し、応報と教育とはまったく相容あいいれないものだというように

 説く傾向がありました。

 しかし、復讐と応報とは同一ではありませんし、教育は応報を原理と

 してこそ、大いに効果を挙げることができるものなのです。

 両者はこれを統合・統一するというよりはむしろ、

 元々不可分一体のものであるとみるべきです。